物流業界で懸念されている宅配クライシス
- 2023.12.06配送コラム
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物流業界で懸念されている宅配クライシス
物流業界において「宅配クライシス」が問題になっています。
宅配クライシスが起こると、軽貨物ドライバーにもお客様にも影響を及ぼしかねません。宅配クライシスはなぜ発生するのでしょうか。原因や解決策を探っていきます。
・宅配クライシスとは
・宅配クライシス解決のための取り組み宅配クライシスとは
宅配クライシスとは、物流業界における人手不足や過剰労働のことを指します。インターネット通販の需要増により、国内はもちろん海外の商品も手軽に注文できるようになりました。それにともない宅配ドライバーが扱う荷物量が増え、物流業界はますます活性化しています。
しかしその一方で、深刻な問題も発生しているのです。
ドライバーの人手不足
求人誌や求人サイトなどには、頻繁に「宅配ドライバー募集」と掲載されています。
荷物量の増加にともない、ドライバーの仕事量も増えています。しかしドライバーの仕事は少ない休憩や長時間残業など激務として知られているため、募集してもなかなか集まらないのが現状です。その結果、現職のドライバーの負担が増えすぎてしまい、離職に追い込まれる方も少なくありません。つまりネガティブな循環から抜け出せず、慢性的な人手不足に悩んでいるのです。人手が足りないと、指定配達時間に荷物が届けられないなど、お客様にも影響が及びかねません。
ドライバーの賃上げ抑制
消費者にとって「送料無料サービス」はうれしいものです。通販で注文すれば、送料0円で商品を受け取れます。
しかし宅配ドライバーにとっては、このサービスが賃上げ抑制の原因になっているようです。通販会社から「扱う荷物量が多くなれば送料が安くなるのは当たり前」と厳しい注文をされたケースは珍しくありません。そのためドライバーがどれほど激務でも、賃金があまり向上しないためさらなる離職につながっていたのです。
宅配クライシス解決のための取り組み
宅配クライシスは、決して解決できない問題ではありません。
人材確保のため、また人材に適正な賃金で働いてもらうため、各社さまざまな取り組みをおこなっています。宅配料金の改定
物流業界の伸びはめざましく、「扱う荷物が増えれば自社がもうかる」という単純な発想では通用しないことがわかってきました。
そこで考案されたのが、宅配料金の改定です。値上げは消費者にとって負担になりますが、そのぶん従業員の賃金にしっかり反映させることで、人材確保につなげました。
「値上げすると荷物量が減るのでは」という懸念もありましたが、宅配ドライバーが直面している事情は予想以上に世間に浸透していて、値上げに賛成する声が目立ちました。実際に料金が改定されても、荷物量は減るどころか変わらず右肩上がりです。
宅配方法の改定
少し前まで“対面”が主流でしたが、最近では“置き配”や“専用ロッカー受取り”などさまざまな方法で受け渡せるようになっています。
再配達の手間がないと、それだけドライバーの負担軽減につながるでしょう。現在、自動運転のトラックや運搬用ドローンなどの開発もすすんでおり、今後はさらなる負担減が期待できそうです。
物流業界で懸念されている宅配クライシスですが、解消に向けた取り組みもすすんできています。
適正な仕事量で満足に働ける未来は、意外に早くやってくるかもしれません。