ETC料金は配送業界の事業者にとって重要な経費です。
正確な会計処理はビジネスの透明性を保ち、税務上の問題を避けるために欠かせません。
ETC料金は主に「旅費交通費」の勘定項目で処理され、高速道路利用時の仕訳は「旅費交通費」と「未払金」で行います。
例えば、ETCで1,000円の高速料金が決済された場合、仕訳は旅費交通費/1,000円、未払金/1,000円です。
会社の口座からの引き落とし時には、未払金をクリアし、普通預金から1,000円を減算します。
これにより、ETC料金の会計処理の正確性が保たれ、経費処理の透明性が確保されます。

経費計上には領収書が必須ですが、ETCカード使用時は通常の領収書が発行されません。
この際に「ETC利用明細書」が領収書の代わりを果たします。
この明細には、利用日時、金額、通過インターチェンジ等が記載され、税務上必要な情報を提供します。
明細書には、作成者の名称、利用日、サービス内容、金額が含まれている必要があり、これらが揃っていれば領収書として認めることが可能です。
ETC利用時には、利用明細書が経費処理の際の信頼性を保つための重要な書類となるため、配送業界の事業者はこの内容を理解し、適切に活用することが大切です。

ETCカードは配送業務において大きなメリットをもたらしますが、一方で注意すべきデメリットも存在します。

メリット①：ETC割引の利用

ETCカードを使用する最大のメリットは、割引制度を活用できることです。深夜割引、休日割引、平日朝夕割引など、様々な割引を受けることで、経費を大幅に削減できます。

メリット②：ポイントの蓄積

法人カードのETCカードを利用することで、ポイントが貯まります。さらにETCマイレージサービスに登録すると、高速道路利用に応じてポイントが貯まり還元を受け取り可能です。

メリット③：渋滞回避

ETCゲートを通過することで、料金所の渋滞を回避できます。これは配送業務における時間の節約に直結し、効率化を図ることができます。

メリット④：経理処理の簡略化

法人カードのETCカードを利用すれば、経理処理が簡単です。個人カードの場合、立て替えた分の処理が必要ですが、法人カードではその必要がありません。

デメリット①：ETC車載器の設置費用

ETCカードを利用するためには、ETC車載器の設置が必要です。これには一定の初期費用がかかり、複数の車両に設置する場合、その費用は無視できません。

デメリット②：利用頻度との兼ね合い

ETC割引を受けるためには条件があります。また、ETC車載器の設置費用と割引額を比較して、利用頻度が低いと元が取れない可能性もあるので注意が必要です。

ETCカード、特に法人カードの選択において、効率的な経理処理とコスト削減を実現するためには、以下の4つのポイントを抑えることが重要です。

ポイントやサービスの充実性

ETCカードを利用することで貯まるポイントは、カードによって異なります。多くのポイントが貯まるカードを選ぶことは、経費削減に直接的に貢献します。
また、法人カード特有のサービス内容も重要な検討材料です。どのような特典やサービスが付帯しているのか、そのメリットをしっかりと把握しましょう。

複数枚の発行可能性

複数の車両を運用している法人にとって、ETCカードを複数枚発行できるかは大きなポイントです。従業員がスムーズに業務を遂行できるかどうかは、この発行枚数によっても左右されます。
利用者の数に見合った発行枚数が可能かどうか、事前に確認しましょう。

入会費と年会費のコストパフォーマンス

ETCカードの入会費や年会費は、トータルのランニングコストに大きく影響します。初年度無料でも、長期的に見てトータルコストが高くならないか、元となる法人カードの条件も含めて検討する必要があります。

審査の通りやすさ

ETCカードを利用するためには、まず法人カードの審査をクリアする必要があるでしょう。
一般に法人カードの審査は厳しいとされていますが、審査基準は発行会社によって異なります。審査のハードルが自社の状況に適しているか、また審査をスムーズに通過するための準備は整っているか、慎重に検討することが重要です。