2024年問題における一日の労働時間上限と現状

2024年問題における一日の労働時間上限と現状
2024.05.22配送コラム

2024年問題における一日の労働時間上限と現状

2024年4月から、時間外労働の上限規制の猶予期間が終了しました。そのため物流界ではさまざまな問題が発生し、これを『2024年問題』と呼んで対応に追われています。

時間外労働の上限規制の適用により、運送業界ではドライバーの労働時間を短縮せざるを得ない状況となっています。本記事では2024年問題における労働時間上限について紹介します。

・2024年問題の対象となっている業種と対象者
・労働基準法改正後の時間外労働の上限
・もし労働時間上限を守らなかったらどうなるの?
・個人の軽貨物事業者への影響

2024年問題の対象となっている業種と対象者

現在2024年問題でさまざまな問題が起きているのは運送業界・建設業界・医療関係です。特に運送業界では、ドライバーの時間外労働の上限を守ると仕事に支障をきたす可能性が高くなりました。

運輸業界では路線バスやタクシーなども含まれていますが、物流関係のドライバーは労働基準法で定められた労働時間を超えてしまうケースも多いのです。

このことから、猶予期間が終わって一番打撃を受けているのは物流関係の企業でしょう。

労働基準法改正後の時間外労働の上限

労働基準法改正には猶予期間が設けられており、その猶予期間は2024年3月いっぱいでした。この猶予期間が終わった今、時間外労働の上限は『960時間』と定められています。

実は猶予期間内であれば、36協定を締結して届出をしていれば時間外労働時間に上限はありませんでした。つまり猶予期間内は法定労働時間をオーバーしてしまっても罰則はなかったのです。

政府としてはこの猶予期間内に働き方改革をすれば問題がないと考えたのでしょう。しかし実際に時間外労働の上限を960時間までと定めた後はどうなったのでしょうか。

もし労働時間上限を守らなかったらどうなるの?

本当なら猶予期間内に働き方改革をすればいいのかもしれません。しかし、そう簡単にはいきませんでした。法定労働時間内で仕事をするためには、仕事のやり方から変える必要もあるでしょう。

その結果、これまでと同様のサービスを行えず顧客満足度が下がる可能性もありました。一方でこれまでのサービスを続けるには人材の確保が必要になるケースもあります。

その対応ができず、やむを得ず労働時間上限を守らなかった場合には罰則が設けられています。例外があるにはありますが、それは災害からの復興のための労働のみです。

個人の軽貨物事業者への影響

罰則が設けられている以上、物流関係の企業ではドライバーを増やすより下請に仕事を依頼するのを選びます。その影響で個人の営業する軽貨物事業者の仕事の依頼が激増しました。

軽貨物事業者にとって、配送する荷物の確保のハードルが下がり安定した収入を得られるようになりました。こうした背景によって、軽貨物事業者の中にはスポット配送などを行う方も増えています。

もちろん個人であっても時間外労働時間の上限は守らなければなりませんが、上限を守っても安定した収入を得られるため参入者は増え続けています。

2024年問題が起こり、軽貨物事業者の数も増えて中にはドライバーを雇って事業を拡大した方も多いです。しかし事業が大きくなれば、より一層2024年問題について知る必要が出てきます。

ですが仕事をしながら法律について学ぶのは至難の業ですよね。もし悩んだらプロに相談に乗ってもらうのも必要かもしれません。この記事が2024年問題で悩む方のお役に立てれば幸いです。