インボイス制度の導入と経過措置について
- 2024.01.05配送コラム
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インボイス制度の導入と経過措置について
2023年10月からスタートしたインボイス制度の導入で、仕入れ税額控除を受けるためには要件を満たす必要があります。しかしインボイス制度の導入はわかっていても、要件を満たす的確な請求書の発行や保存は意外と大変です。
そのためインボイス制度導入にあたって経過措置が設けられています。本記事ではインボイス制度の経過措置について紹介します。
・インボイス制度の経過措置
・インボイス制度における経過措置の内容
・経過措置期間中で気を付ける点
・消費税額が全面控除されるわけではないインボイス制度の経過措置
インボイス制度で仕入税額控除を受けるためには適格請求書が必要です。適格請求書を発酵するためには適格請求書事業者登録を受けた課税事業者にのみ認められています。つまり適格請求書発行事業者以外で取引した場合に支払った消費税額は控除対象外となるわけです。しかし全ての取引先が適格請求書発行事業者だとは限りません。
そこで設けられたのが経過措置です。
インボイス制度における経過措置の内容
インボイス制度における経過措置の期間は、インボイス制度開始から6年間と認められています。2023年10月に導入されたので、2026年9月30日までは免税事業者等からの課税仕入れの80%を控除できます。さらに3年後の2029年9月30日までは50%の控除を受けられます。ただし簡易課税制度を選択している事業者については、インボイス制度に必要な適格請求書の区分経理が必要ありません。
そのため経過措置は適用されないので注意が必要です。
ここではインボイス制度の経過措置期間中の会計処理で気を付けなければならない点を紹介していきます。
1.仕分け方法
・書類作成者の氏名もしくは名称
・取引年月日
・税率ごとに合計した税込価額
・書類の交付を受ける事業者氏名または名称を記載しなければなりません。ただし取引内容が軽減対象品目であった場合、取引内容と軽減税率対象である旨を記載します。
帳簿には経過措置適用分の仕入れがわかるよう記載してください。
・課税仕入れの先の氏名または名称
・課税仕入れを行った年月日
・課税仕入れにかかる取引内容
・課税仕入れにかかる支払額さらに経過措置適用分仕入なので、取引ごとに80%控除対象であったり免税事業者からの仕入れであったり細かく情報を記載する必要があります。
表示の方法についても、記号を用いて表示することも認められています。
2.税額計算
インボイス制度では仕入税額の計算は原則として積み上げ計算となっています。しかし売り上げ税額の計算で割り戻し計算を選択している場合、仕入税額でも割り戻し計算が可能です。
ただし経過措置適用分については、適格請求書の仕入税額計算法に合わせる必要があります。つまり積み上げ計算をしている場合は経過措置適用分も積み上げ計算しなければなりません。
積み上げ計算では1円未満の端数が出た場合、四捨五入するか端数を切り捨てします。この点にも注意が必要です。
消費税額が全面控除されるわけではない
経過措置適用分の計算では、記載されている消費税額が全額控除されるのではありません。先ほど説明した通り2026年9月30日までは80%、さらに3年後の2029年9月30日までは50%の控除が受けられます。そのため2026年9月30日までは請求書記載額に110分の7.8をかけた金額に80%をかけた金額が控除されます。その後2029年9月30日までは記載額に110分の7.8をかけた金額に50%をかけた金額が控除されます。
インボイス制度の導入で仕入が複雑したと感じる事業者も多いかもしれません。しかし導入されたからには損をしないよう請求書の作成や、経過措置の期間を有効に活用するしかありません。本記事では簡単な説明をしましたが、より詳しくインボイス制度や経過措置について知りたい方は、国税庁のホームページをチェックするのもおすすめします。
国税庁ホームページ「適格請求書等保存方式(インボイス制度)の手引き」は以下のURLからご覧いただけます。
URL:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/invoice_tebiki.htm