複式簿記は、取引の原因と結果を両側面から記録する方法です。資産増加は借方に、減少は貸方に記載します。
例えば、850円の交通費支出は「旅費交通費 850円」を借方、「現金 850円」を貸方に記録します。これにより、資金の流れを明確に捉えることが可能です。
複式簿記は企業会計原則の「正規の簿記の原則」を満たし、取引の網羅性、秩序性、検証可能性を保証します。
配送業界の個人事業主にとって、財務状況の透明性と正確性を保つために、複式簿記は貴重なツールです。

複式簿記は、配送業界の個人事業主が確定申告で差をつけるための強力なツールです。複式簿記にはメリットとデメリットの両面が存在しているので見ていきましょう。

メリット①：正確な会計記録

複式簿記を用いると、光熱費や支払い方法など、取引の詳細まで正確に記録できます。これにより、企業や事業の財務状況を全体的に把握することが可能です。

メリット②：貸借対照表や損益計算書の作成

複式簿記による詳細な記録は、賃借対照表や損益計算書の作成を容易にし、事業の健全性や財政状態を判断する重要な資料です。さらに、青色申告における特別控除の適用条件でもあります。

メリット③：会計知識の向上

複式簿記の学習と実践を通じて、会計に関する知識が自然と身につきます。これは、事業の経営判断において非常に有益です。

デメリット①：記録の手間

複式簿記では、経費の種類ごとに勘定科目を設定し、適切に記帳する必要があります。これは、慣れるまで時間と労力を要する作業です。

デメリット②：一定の知識が必要

複式簿記は、単式簿記に比べて複雑です。賃借対照表や損益計算書の作成には、仕訳帳の記載から試算表の作成まで、一定の会計知識と精密な手続きが求められます。

最近の会計ソフトは仕訳作業を自動化し、複式簿記の手間を削減します。これにより、専門知識がなくても効率的に記帳が可能です。
複式簿記は確定申告で大きなメリットを提供しますが、適切なツールを使うことで、準備と努力の負担を軽減し、財務管理の精度と効率を高めることができます。

配送業界の個人事業主の皆さん、複式簿記における確定申告の精度を高めるためには、以下の要素が不可欠です。

貸借対照表

貸借対照表（バランスシート）は、ある時点での企業の財政状況を示します。左側（借方）には資産を、右側（貸方）には負債と純資産を記載し、調達した資金の使途と資金の調達方法を一覧できます。
この表は、資産が負債と純資産の合計と一致することを示しており、財務状況の健全性を判断するのに役立つ情報です。

勘定科目

取引の増減を資産、負債、純資産、収益、費用の5つのカテゴリーに分けて処理するのが勘定科目です。各カテゴリーには、現金、売掛金、買掛金など、具体的な勘定科目が設定されています。これらを理解し、適切に分類することで、財務状況の正確な把握と管理が可能です。

主要簿

主要簿には、仕訳帳と総勘定元帳が含まれます。仕訳帳では、取引を日付順に記録し、その取引の原因と結果を借方と貸方に分けて記帳します。
総勘定元帳は、勘定科目ごとに取引をまとめており、それぞれの科目の動きを一目で把握できる帳簿です。これらの帳簿は、取引の正確な記録と、後日の分析に不可欠です。

補助簿

補助簿は、主要簿の詳細な補足情報を提供します。現金出納帳、預金出納帳、売掛帳、買掛帳、固定資産台帳などがこれに含まれます。これらの補助簿は、具体的な取引の詳細を記録し、財務状況のより深い理解を可能にします。