物流界における宅配クライシスとその影響

物流界における宅配クライシスとその影響
2024.06.19配送コラム

物流界における宅配クライシスとその影響

物流界では2024問題や人手不足といった問題が数多く起こっています。そんな中で度々話題に上がるのが『宅配クライシス』です。本記事では宅配クライシスと物流界に与える影響について紹介していきます。

・宅配クライシスとは
・宅配クライシスはなぜ起こるのか
・宅配クライシスの影響と対策

宅配クライシスとは

そもそも宅配クライシスとは何かというと、新型コロナウイルス出現により巣ごもり生活を余儀なくされた時期に、ネットショップや通販事業が消費者の需要に応えて急成長しました。

多くの消費者が自宅にいながら欲しいものが手に入る利便性の良さに反応し、それに伴い運送会社の扱う荷物の量もどんどん増えていきました。しかし運送会社は慢性的な人材不足という問題を抱えています。

そのため、荷物を運びたくても運びきれないといった問題が起こりました。これが宅配クライシスと呼ばれる現象です。

宅配クライシスはなぜ起こるのか

ここでは、宅配クライシスがなぜ起こるのかについて紹介していきます。

ネットショップの急成長

感染拡大以前は欲しいものはお店に行って購入するのが一般的でした。しかし感染拡大後は感染を避けるために自宅で過ごすことが増えました。通販サイトやネットショップもよりショッピングがしやすいように変わっていきます。

その影響によりネットショップや通販サイトを活用する方が急激に増えていったのです。消費者の求める商品を扱うための企業努力も手伝い、今ではネットショップで手に入らない商品を探す方が難しいほどになりました。

結果として、商品は飛ぶように売れて配送する荷物の量もどんどん増えました。これが宅配クライシスの大きな原因の一つとなっています。

ドライバーの高齢化と人材不足

運送業界というと過酷な労働条件で働いているといった悪いイメージが定着していました。そのため若い人材の確保が難しいのが運送業界の悩みでもあります。

もちろん運送会社で長く勤めている方が多いのも事実です。しかし長く勤めている人材は高齢者が多く、なかなか無理がきかない状況になっていました。

人材確保が上手くできていない運送会社に、通常より多い荷物が流れてくれば当然配送に支障が出るのは仕方がないことかもしれません。これが宅配クライシスの2番目の原因です。

送料の無料化と再配送の負担

ネットショップで商品の購入を検討するときの決め手の一つが「送料無料」と答える方が多いようです。確かに送料が別途かかるより送料無料の方が魅力的ではありますよね。

中には少し高くても送料無料の方が得をした気持ちになれるので、送料無料の商品を選ぶ方が多いのが現実です。しかし運送会社にとって送料無料はあまりありがたいことではありません。

スムーズに荷物の受け渡しができればいいのですが、中には再配送を繰り返す方もいます。これは運送会社にとっては大きな損害につながりかねません。これも宅配クライシスの原因といわれています。

宅配クライシスの影響と対策

人材確保が難しい中、今いる人材で宅配するためには物流会社だけではなく、ネットショップにも協力してもらう必要があります。

例えば送料無料についてですが、再配送の場合は別途送料が発生する仕組みを作るのが望ましいです。それが難しいのであれば、宅配ボックスの設置個所を増やすのも対策となります。

これらの対策によって何度も再配達をしなくて済むからです。

関係する企業も含めて改善すべき

送料無料や再配達については物流会社の問題ではないか?と考える方もいるかもしれません。確かにそう思う方もいるかもしれませんが、しかし物流会社の人材不足はすぐに改善できる問題ではありません。

少ない人材で配送をしているのに、何度も何度も再配送を繰り返されれば他の荷物の配達にも影響が出てしまいます。さらにそれが原因で会社を辞めてしまう方も出てくるかもしれません。

そうなれば配達ができなくなるといった悪循環がうまれる可能性も否定できないのです。

こうした問題を改善していくためにも、物流会社だけではなくショッピングサイトや消費者にも協力してもらえれば、円滑に荷物の輸送ができるようになります。

ここまで、宅配クライシスとはなにか、宅配クライシスの原因・対策について紹介してきました。ネットショッピングの急速な拡大に加え、物流会社の人材不足が重なって様々な問題が起こっています。

しかし、利用者の理解やネットショップの理解があれば、宅配クライシスは少しずつ改善していう可能性があります。もちろん円滑に配送を行うためには、物流会社の人材確保も重要です。

また、宅配クライシスは繰り返し起こると考えられているため、今後も何か変化があるたびに起こる可能性も否定できない問題です。