物流業界での2024年問題と荷主への影響と対策

2024.07.05配送コラム

物流業界での2024年問題と荷主への影響と対策

物流業界にも働き方改革の波がやってきて、2024年4月からドライバーの時間外労働の上限規制が始まりました。そのため物流業界では様々な問題が起きています。

ドライバーを抱える運送会社にとってかなりの打撃になっているのはもちろんですが、実は荷物の輸送を依頼している荷主にとっても大きな問題となっているのです。

本記事では、2024年問題における荷主への影響そして対策について説明します。

・2024年4月1日から何が起きているのか
・2024年問題が荷主に与える影響
・荷主ができる2024年問題への対策

2024年4月1日から何が起きているのか

2024年問題がなぜ起きたのかを簡単に説明していきます。政府は働き方改革を行っていますが、物流業界ではドライバーに対する時間外労働の上限規制を行いました。

ドライバーの仕事は様々で、特に長距離ドライバーの労働時間は他の業種より群を抜いて長くなる傾向にあります。そのため、ドライバーの健康を維持するためにも労働時間に上限を設けたのです。

それによって1年間に働ける時間外労働の上限は960時間となりました。実はこの時間外労働の短縮が運送会社や荷主にまで影響を及ぼしているのです。

2024年問題が荷主に与える影響

まずは2024年問題が荷主にどのような影響を与えているのかについて紹介していきます。

運賃が値上げされる可能性が高い

運送会社では時間外労働の制限がかけられてしまったため、ドライバーのお給料が減ってしまいます。長距離ドライバーの魅力はなんといってもお給料の良さです。

それなのに労働時間が減らされては仕事が大変なだけだ、と思ってしまう方も多いでしょう。運送会社ではドライバーの確保が難しくなり、慢性的な人手不足となりかねません。

そのため今いる人材の賃上げなどを行い引き留めている可能性だってあります。運送会社のコストが上がれば仕方なく運賃の値上げも行います。

委託条件が変わるリスクがある

2024年問題で最も懸念される荷主への影響がこちらの委託条件が変わるリスクです。これまでは依頼できた長距離の荷物の輸送が難しくなったからです。

それまで委託していた業者が、短距離から中距離になってしまったという話はよくあることです。つまりそれまで可能だった長距離の委託ができなくなっている荷主も増えているのです。

条件に合う委託先が見つけにくくなるリスク

長距離ドライバーの労働時間が短くなったため、条件に合う運送業者を選ぶのが難しくなります。もともとトラック業界では慢性的な人手不足があり、現在も解消されたわけではありません。

そこへ2024年問題が起きたために、物流界では今いるドライバーを引き留めるので精いっぱいです。しかも時間外労働の削減は物流会社全ての問題なため、これまでと同じような委託業者を探せないかもしれません。

そのため荷主も何らかの対策が必要になります。

荷主ができる2024年問題への対策

倉庫管理の徹底とシステム導入

荷物の積み込み時間の前倒しの可能性も考え、倉庫のレイアウトを変更して荷物の出し入れを容易にする必要があります。また、在庫管理を徹底しなければなりません。これは時間の短縮にもつながります。

他にもシステムの導入を行い、少人化によって人件費の削減も必要になります。さらにITツールの導入も検討する必要です。それに加えて倉庫を移動または倉庫会社を利用して、長距離輸送をなくすことも重要です。

中継地点に倉庫を借りればそれまで長距離だった配送先が中距離になる可能性もあり、委託業者を探しやすくなります。

配送ルート・配送スケジュールの最適化

配送ルートや配送スケジュールを最適化することによって、よりスムーズにスピーディーに荷物の輸送が行えます。

モーダルシフトの導入

今注目を集めているのがモーダルシフトの導入です。モーダルシフトは貨物列車など他の輸送手段を導入する方法です。列車以外にフェリーなどを活用します。

長距離の荷物を列車やフェリーで輸送することで時間を短縮できるメリットがあります。

ここまで、物流業界の2024年問題における荷主への影響と対策について紹介してきました。意外と大変な問題かもしれませんが、早めの対策をすれば業務に支障が出る心配はありません。

倉庫管理の徹底やモーダルシフト導入で、これまで以上に配送がしやすくなる可能性の方が高くなります。コスト削減にもつながるため、この機会に効率化を行うことをおすすめします。