2025年4月の安全対策強化の内容と軽貨物事業開始の関係

2025年4月の安全対策強化の内容と軽貨物事業開始の関係
2025.04.09配送コラム

2025年4月の安全対策強化の内容と軽貨物事業開始の関係

軽貨物事業は大手運送会社にとっては痒い所に手が届く存在です。さらに事業者としての届出が非常に簡単なため、個人事業主として活躍している方が全国にいます。

そんな軽貨物事業者に対し、国土交通省は2025年4月1日から安全対策の強化を実施します。本記事では安全対策強化の内容について紹介します。

・2025年4月1日から軽貨物事業者に安全対策の強化が実施される
・軽貨物事業者に対し安全対策が強化される背景
・貨物軽自動車運送事業者に対する安全強化の内容
・安全対策の講習と適性診断の時期

2025年4月1日から軽貨物事業者に安全対策の強化が実施される

軽貨物事業は運送業界ではなくてはならない存在となっています。個人事業主として活躍しやすいという事もあり、現在では日本中で個人事業主の軽貨物事業者が配送業務に携わっています。

これまで仕事の多さや参入のしやすさから、運転免許と軽自動車や軽バンなどがあれば誰でも参入してきました。しかし一方で軽貨物事業者による交通事故の件数が多くなったのも事実です。

そこで国土交通省が軽貨物事業の安全対策に関する規制・運用が強化される事となりました。

軽貨物事業者に対し安全対策が強化される背景

なぜ軽貨物事業者に対して安全対策が強化されるようになったのかについて2点紹介していきます。

①安全対策に対する認知の薄さ

一般的な貨物事業者が事業を開始するには許可を取る必要があります。これは軽貨物でも同じですが内容は軽貨物よりも厳しくなっています。

例えば1営業所で5台以上のトラックを必要とし、運行管理者・国家資格を保有した指定の講習を受講・役員の法令試験・運行記録計の装着などが義務付けられており、これまでの軽貨物事業より厳しくなっています。

一方軽貨物事業者は届出制や点呼の実施・健康状態の把握・運転者に対する指導及び監督・運転者の勤務時間の遵守・過積載の防止・貨物の適正な積載・異常気象時における措置(一般貨物事業者も同じ)しかありません。

しかも実施している事業者は多いものの、規則を知らなかったと答えて実施していない事業者も多く存在していたのです。

②安全対策に関する意識の薄さから事故が増加

一般貨物自動車運送事業者には、事故の記録や重大事故(死亡事故)が発生した場合、国土交通大臣への報告が義務付けられています。しかしこれまで軽貨物事業者に対してはこの事故の記録や報告はありません。

つまりもしも軽貨物事業者が配送中に大なり小なり事故を起こしたとしても、事故の記録や重大事故が起きた場合に国土交通大臣への報告をしなくても良かった事になります。

そこで国土交通省では、貨物軽自動車運送事業者にたいして安全対策強化を実施する運びとなったわけです。

貨物軽自動車運送事業者に対する安全強化の内容

2025年4月1日から強化される安全対策についての規制は以下の通りです。

・安全管理者の選任と届出の義務付け
・選任前及び選任後2年ごとの講習受講の義務付け
・初任運転者等への特別指導と適性診断の受診の義務付け
・業務の記録と1年間の保存を義務付け
・事故発生時の記録と重大事故の場合は国土交通大臣への報告を義務付け

以上が2025年4月1日から実施される貨物自動車運送事業者に対する規制です。

この安全対策を行う事により、安全対策の重要せや安全対策についての知識の習得を促し、軽貨物事業者による事故の抑制を促すわけです。

また、国土交通省が軽貨物事業者による事故件数や事故の状況を正確に把握できるようになります。

安全対策の講習と適性診断の時期

2025年4月1日から実施されるとはいっても全国の軽貨物事業者が一斉に行えるものではないので、国土交通省では2025年3月31日までに届け出を行った事業者にはある程度の猶予が与えられます。

・安全管理者選任・届出は2027年3月まで
・初任運転者等への特別指導と適性診断の受診は2028年3月まで

となっていますので、すでに事業を開始している事業者は猶予期間の間にこれらの届出や診断を受ける必要があります。

今回の安全対策強化についての規制により、以前より軽貨物事業への参入や継続が難しくなったのは事実です。

しかしこの規制を遵守すれば軽貨物事業者による事故を把握しやすくなり事故の件数も減少すると見込まれています。多少手間や人が必要にはなりますが、配送を必要としている人は増え続けています。

この事からも軽貨物事業は今後もやりがいのある仕事であるのは間違いないでしょう。

ここまで、2025年4月1日から実施される貨物軽自動車運送事業者の安全対策強化について紹介しました。しっかり届出をして安全に配送業務を行えるよう心がけましょう。